ラグビー部の歴史 / history

第8話:東日本リーグ昇格(語り手:打矢・中田・吉村)

話はいよいよ、昇格、引退、そして現在へと向かいます。

6・7話と話しを伺い、皆さん常にご謙遜されますが、上の世代からすると、皆さんの代から、レベルがぐっと上がったと言われています。そう言われることはどうですか?

中田:う~ん、どちらかというと、上の世代に比べて勝ちに対してそんなにこだわってなかったかなぁ。
吉村:いや、多少はあったけれど、コンディションの調整とかいうのは甘かったよね。

打矢:僕は2年目に後十字靭帯を切って、当時は1年間練習が出来なかった。そんなブランクがある僕に、当時のキャプテンだった川崎さん(ライフバル推進部)からキャプテンのオファーがあった。今だったら考えられないよね。けれど、これが意外に効果的で、ずっと外から見ていたからどうしたらチームが強くなれるか客観的に分かったんだよね。こういう練習をやったら強くなるんじゃないかな、と。当時1つ先輩の相沢さん(広域圏企画部)がいてね、彼も同じ時期に腰で怪我人だったから、一緒に外から見てあれこれ考えていたんです。それが役に立った。僕がキャプテンになった時、相沢さんにバイスキャプテンをお願いした。

高野:怪我で休んでいたことで、チームを俯瞰して見られるということを考えていたんですかね?

中田:いや、そこまで考えてないだろー。休みたかっただけじゃないの?
吉村:まあ、ここは美談にしておこうよー。(笑)

高野:同じ時期のことを伺っても、それぞれの代によって捉え方が違っているように感じます。謙遜もされているのだと思いますが。

吉村:飲み会ばかりでしたからねえ。
打矢:そういう意味でいいメリハリはついていたよな。
中田:常に「チーム」であったように思うんです。飲み会もチームだし。ラグビーもそれなりに集中して頑張って、すぐみんなで飲みに行って、そこでも熱くラグビーについて語る人たちもいたしね。といっても、他チームの分析なんかをするわけもなく、楽しいラグビーの話ばっかりだったなぁ。

上の代へ取材では、野球部と比較して考えている様子を感じたのですが、皆さんはどうですか?

吉村:正直なところ僕は入社後、野球部に負い目というか、意識をしたことはないんですよね。

中田:多分、野球部には常に都市対抗野球という目標があったから当時のラグビー部とのコントラストが大きかったのかな。ラグビー部が年々強くなっていっても社内で脚光を浴びてきたようには、あまり思わなかったね。ただ、職場の周りの人たちはいつも応援してくれていたので、社風のアットホーム感は感じていたね。今は会社を挙げて応援デーとかあるから盛り上がっている感じがして良いよね。

吉村:そこそこラグビーを楽しみたいという気持ちがベースにあったので、正直、東日本に上がろうとか、そういう感覚はなかったんだよね。
二人:うんうん。そうそう。

そうすると、反対に勝って「しまう」ことにちょっと戸惑いがあったということはありますか?

打矢:あ、そっちのほうが僕はあったな。特に、東日本リーグに上がった時。4年間トントン拍子で一番上のリーグに上がってしまったからね。
これはちょっと大変になるな、という漠然としたものがあった。もちろん勝つためにやっていたんだけれど。仕事とラグビーの両立とか、環境が変わったりするんじゃないかと。チームの目標は、昇格だったはずだし、こんなはずじゃなかったというのも変なんだけれど。
中田:さすが、キャプテン。

吉村:中田から出た言葉と同じ。僕はただ勝って嬉しいな、と。東日本リーグにいったらもう少し頑張ろうとそれだけでしたね。

中田:僕はチームが通用するとかいうより、自分が通用するかを考えていたかな。

打矢:僕が抱えたのは高いレベルでこれからやらなくてはならない大変さへの不安、かな。僕は上がったと同時にキャプテンを降りたんですよ。2年間十分やって、あとは自分自身、プレイヤーとしてもっと頑張りたいという思いがあったから、同じ建屋で働いていて、いつも練習に一緒に行っていた宮島に次を任せた。彼はその当時No.1プレーヤーだったしね。でも彼にはちょっと申し訳ないことをしたかもしれない。

初めにキャプテンを頼まれた時、何を思いましたか?

打矢:個人の能力は高いので、ポイントはチームをまとめることだなと思っていました。そうは言っても、まだ選手間にはレベル差による軋轢はあった。2本目の活躍の場などは十分にはなかったと思います。やはり、田中さんや五十嵐さんが間に入ってまとめてくれていたのは、前の記事にもあったとおり。とても助かりました。

キャプテンをされていた2年間で一番きつかったことは?

打矢:きつかったことかぁ。やっぱりキャプテンとして厳しいことも言っていかなくてはならないと思って、ある程度嫌われるのを覚悟で、先輩にも厳しい発言をしたり、今までレギュラーで出ていた選手を降ろして若手を起用したり、そうした自分を律しないといけない部分が辛かったですね。その前までは、どちらかというと自由に気楽にやってきたほうだったので、そうした責任は辛かったですね。練習メニューやメンバー選考もすべてやっていたのでいつもプレッシャーはあった。そういうのもあって早めに……(笑)

高野:ここまで皆さんの言葉では、「ラグビーをそこそこに楽しんで」という表現が出てきていますが、「レギュラーの先輩を降ろして若手を起用」という決断をしているあたり、どう見てもこれは本気のチームなのだと思います。

吉村:確かにこのころには、ポジション争いも激しかったり、慣れ合いでは試合に出られなかったね。

中田:東京ガスラグビー部は大学特有の固まったラグビーが嫌でここにきている人間が多かったから、個々のスキルを尊重したチームに自然となっていたよね。

吉村:僕自身は、ラグビーのことをよく知らないし、プレースタイルなんて語れたもんじゃないのだけれど、東京ガスには監督とか強烈な指導者がいなかったから、「こうありたい」というものができづらかったんだと思うんですよね。それが良かったのか悪かったのか、どう作用したかは分からないけれど。監督はいなかったけれど、僕も一時、スタッフをやっていた時期があってスタッフミーティングを夜な夜な開いていた。だから選手間で話し合うということは頻繁に行われていたな、と。

中田:それがスタイルなのかもしれない。

打矢:ただね、僕がキャプテンの頃は勝っていたからいいけれど、僕の後は大変だったと思う。勝つためにミーティングも相当やっていたんだろうな。年に数回しか勝てない中でモチベーションを上げていくのは厳しいことだと思う。

中田:スタッフだけではなくって、回りのみんなが若手も含めて意見ができるのは凄くいいことだと思う。

その後、96年に打矢さんが引退、97年に吉村さん、中田さんが引退をされたのですね。
スタッフになって、もしくは引退をしてから考えが変わった経験はありますか?

中田:俺、入社以来スタッフになったこと無くてずっと無職だから。(笑) ただ、自分がBチームになった時のことはとても勉強になったね。今高校生を教えているんだけれど、レギュラーで無い学生への声掛けやアドバイスする中で、あの時期があったことは凄く良かったと思ってるね。

吉村:年を経て仕事での段階が上がる中で、「あー、ラグビーのスタッフ時代にこうしておけばよかったな」と振り返ることはありますね。

もしこのあとこのコンテンツ用に部の歴史を語ってもらうとしたら誰に受け渡したいですか?

吉村:東日本リーグに上がってから、降格までを見てきたキャプテン3人に話を聞いてみたいかなぁ。宮島、守屋、尾関(リビング営業部)?
中田:東日本リーグ時代を語ってほしいですね。一番の栄光の時期であり、一番苦労した世代なんだよね。

最後に今の立場で今の選手を見て、伝えたいことを是非教えてください。

打矢:うちのチームは、昔からラグビーの能力だけで他からポッと採ってきて戦力を補強したりせず、選手が主体となって自分たちで悩み、考えながら作り上げてきた手作りのチームだと思う。その苦労した分「一体感」とか「チーム愛」がうちの強みになっている気がします。今シーズンから林さんと言う素晴らしいコーチが来てくれて選手への指導や戦い方など方向性を示してくれるけど、引き続き、うちのチームの強み、らしさを更に高めながら競合相手と戦って勝って欲しいと思っています。

吉村:普通の社会人だったら経験できないことを経験しているっていうことに、現役時代が終わってから気が付くんですよね。きちんと仕事をしながら並行して秩父宮でラグビーもするとかって、普通はなかなかできないですよね。

中田:例えば、この3人も「ラグビー」というキーワードでここまで繋がっている訳で、引退した後も一緒にたくさんの楽しみがあるんですよ。まぁ集まってもいつも同じ話で盛り上がって酒飲んで「またその話かよー」って言いながらね。そんな馬鹿が出来る遊び仲間をたくさん現役時代に作って、引退後もずっとずっと大切に繋がっていてほしいなと思います。

「Number」に掲載された時の様子。学生時代の活躍を物語る。

入部1年目(1990年)の入替戦(対警視庁)での中田と打矢。中田3トライ、打矢2or3トライ、吉村2トライ。

全国社会人大会へ初出場した際の社内報記事。

警視庁戦勝利後の記念撮影。今はない東京ガス・金沢グラウンドにて。故・牧野部長(最前列・真ん中)のために何としてでも勝とうと、ゲーム前に川崎主将が叫んだ言葉が記憶に残る。

皆さん本当にありがとうございました。
次の3名にもすでにインタビューをご依頼ずみ。次回以降もお楽しみに!

(インタビュア:高野美穂)

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